ポリタス再起動 【沖縄県知事選】

Ver.1.06 12月3日12時42分更新(記事No.201〜203を追加)

遠近法のイノベーション

津田大介氏が編集長を務める政治メディアポリタスが、東京都知事選についで再起動しました。

都知事選の時と同様、この選挙と沖縄の抱える諸問題に関して、非常に多くの、多彩な識者の意見が上がっています。

ポリタスのこの方法の意義がどこにあるかといえば、やはり沖縄の人だけでなく、他の都道府県の人もなるべくその争点を、現地にいるのと近い感覚で、理解するということにあるのではないでしょうか。

大新聞のように、遠目で、選挙結果の予想と一部問題のみをクローズアップするやり方ではなく、なるべくライブな感覚で、選挙の雰囲気に至るまで伝えようとする―そうしたパースペクティブ(遠近法)のイノベーションにこそポリタスの価値があると私は思っています。

二つの評価軸
数十人におよび日々増え続ける識者の意見に関して、一つ一つコメントをつけることは、余計なバイアスをかけることであるし、時間的にも余裕がないので、ここではリンク集的に公開された順にまとめることにしますが、それぞれの意見を評価する上で、二つの軸があるのではないかと考えます。

一つ、X軸として、基地に対して反対、賛成の軸(直感になじむようにこの順にします)。

二つ、Y軸として、本土からの俯瞰的視点と沖縄目線(これも同様の理由でこの順にします)。

三つめに、立体的にこれ以外の問題をZ軸を置くことも可能でしょうが、基本はこの二つの軸が描く中に、意見は位置づけることができるではないかと思います。

左下に存在するのは、沖縄における基地反対的な意見。

右下に存在するのは、沖縄における基地推進、もしくは容認的な意見。

右上に存在するのは、本土における官庁や政府の意見にそった見方。

左上に存在するのは、本土におけるこれと対立する見方。海外まで視野に入れた意見もこの延長にあると言えます。

左上にいる本土からの俯瞰的な視点を持った人は、なるべく左下にいる沖縄の基地反対の意見に寄り添おうと努力はします。しかし、あくまで当事者ではないので、その努力にも限度があります。

ですから、左下の人の中にはそうした意見を援護射撃的に歓迎する人と、他人事感覚だと思い反発する人も出て来るでしょう。

右下の人も、右上の人に対して同じではないでしょうか。

むしろ、下にあるもの同士の方が、過度に国や中央のレベルの問題を押し付け語ろうとする上のレベルの人とより近いと感じるかもしれません。

ここに沖縄の置かれた複雑な事情があります。

こうした中で、多少のばらつきはあるものの、ポリタスはなるべく四つの象限に位置するような意見を、拾い上げ、その中央に自らを置こうと努力していると感じています。

こうした私の分析自体、本土からの俯瞰的視点の制約を脱するものではないでしょう。

このような視点の制約を自覚した上で、ポリタスの多様な意見に接し、その中でそれぞれの意見に対する共感の度合いを目安に、あえて自分の意見をどこかへ位置づけてみることが大事だと思います。そうする中で、自分の選挙区や国政に対する思わぬアイディアや気づきも得られるのではないでしょうか。

ポリタス補完計画

以下、ポリタスの記事一覧のリンクを発表順に並べることにしますが、記事のurlを見える形にします。次の記事に移動する際、下一桁もしくは二桁の数字だけ変更すればよいからです。

津田大介 「ポリタス」編集長:【沖縄県知事選】ポリタス特集企画『「沖縄県知事選2014」から考える』を開始します
http://politas.jp/articles/142
柳澤協二 内閣官房副長官補(安全保障担当):【沖縄県知事選】沖縄県知事選で問われているもの
http://politas.jp/articles/143
先崎彰容 東日本国際大学准教授:【沖縄県知事選】「新しい」言論は可能か──ヴェトナムから沖縄へ
http://politas.jp/articles/144
ポリタス編集部:【沖縄県知事選】沖縄県知事選挙2014立候補者の政策を読む
http://politas.jp/articles/145
田原総一朗 ジャーナリスト:【沖縄県知事選】沖縄、日本、米国それぞれの思惑
http://politas.jp/articles/147
先崎彰容 東日本国際大学准教授:【沖縄県知事選】沖縄への「寄り添い方」
http://politas.jp/articles/146
西田亮介立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘准教授
沖縄県知事選】沖縄県知事選に見る現代日本の縮図──価値についての選択肢の不在と交錯するマクロとミクロの利害関係
http://politas.jp/articles/148
新城和博 沖縄県産本編集者:【沖縄県知事選】沖縄がずっと抱えてきた何かがあふれ出ればいい
http://politas.jp/articles/149
竹田圭吾 ジャーナリスト・編集者:【沖縄県知事選】グローバル・イシューとして考えるOKINAWA
http://politas.jp/articles/150
知念正作 「自家焙煎珈琲まちぐゎーみちくさ」店主/基地問題冊子「Picnic」発行人:
沖縄県知事選】結局やる気出すのは俺たち一人ひとりなんだ
http://politas.jp/articles/151
浅生鴨 作家、クリエイティブ・ディレクター:【沖縄県知事選】僕は沖縄を知らない
http://politas.jp/articles/152
ポリタス編集部:【沖縄県知事選】「候補者ネット討論会」書き起こし 前編(基地問題
http://politas.jp/articles/153
ポリタス編集部沖縄県知事選】「候補者ネット討論会」書き起こし 後編(経済振興・教育政策ほか)
http://politas.jp/articles/154
想田和弘 映画作家:【沖縄県知事選】沖縄で問われるこの国の進路
http://politas.jp/articles/155
吉田徹 北海道大学公共政策大学院准教授:【沖縄県知事選】「沖縄」と「内地」の溝はどう埋め立てられるのか
http://politas.jp/articles/156
樋口耕太郎 トリニティ株式会社代表取締役社長/沖縄大学人文学部准教授:【沖縄県知事選】2014年沖縄県知事選挙と2013年浦添市長選挙の類似性について
http://politas.jp/articles/157
布施祐仁 ジャーナリスト:【沖縄県知事選】辺野古を止めることが、普天間の危険性除去の「近道」でもある
http://politas.jp/articles/158
八木啓代 歌手/作家:【沖縄県知事選】沖縄から日本が変わることを
http://politas.jp/articles/159
finalvent ブロガー:【沖縄県知事選】沖縄県知事選後に予想される泥沼
http://politas.jp/articles/160
ポリタス編集部:【沖縄県知事選】映像で見る沖縄県知事選挙──選挙戦の模様
http://politas.jp/articles/161
古谷経衡 評論家/著述家:【沖縄県知事選】「ネット右翼」はなぜ沖縄の米軍を擁護するのか?
http://politas.jp/articles/162
知花竜海 ミュージシャン/Peace Music共同代表:【沖縄県知事選】沖縄問題を読み解くヒント
http://politas.jp/articles/163
大見謝将伍 ライター:【沖縄県知事選】日本は変わる、沖縄は変わらない
http://politas.jp/articles/164
仲村清司 作家、沖縄大学客員教授:【沖縄県知事選】沖縄が沖縄であり続けるための選択
http://politas.jp/articles/165
松島泰勝 龍谷大学経済学部教授/琉球民族独立総合研究学会共同代表:【沖縄県知事選】日本人よ、そろそろ、琉球に米軍基地を押し付けるのを止めようじゃないか
http://politas.jp/articles/166
岡留安則 元「噂の真相」編集長、ジャーナリスト:【沖縄県知事選】沖縄県知事選は「日本国」と「沖縄県」の戦いだ
http://politas.jp/articles/167
慎泰俊 起業家【沖縄県知事選】:異邦人の語る沖縄県知事
http://politas.jp/articles/168
河野嘉誠 ライター【沖縄県知事選】:沖縄の若者と「政治」との距離
http://politas.jp/articles/169
平良朝敬 かりゆしグループCEO:【沖縄県知事選】「無視」を乗り越え、アイデンティティを持ち自立する沖縄へ
http://politas.jp/articles/170
初沢亜利 写真家:【沖縄県知事選】誰のための県知事選か?
http://politas.jp/articles/171
いとうせいこう 作家・クリエーター:【沖縄県知事選】「否認」によって切断される「共有」の鎖
http://politas.jp/articles/172
初沢亜利 写真家:【沖縄県知事選】沖縄、楽園イメージからの開放<写真41点>
http://politas.jp/articles/173
星野英一 琉球大学教授:【沖縄県知事選】知事選2014前に知っておきたい9つのテーゼ
http://politas.jp/articles/174
白井聡 文化学園大学助教:【沖縄県知事選】沖縄県知事選――本土からの見方
http://politas.jp/articles/175
佐藤学 沖縄国際大学教授:【沖縄県知事選】オスプレイと在沖海兵隊は「御守り」にすぎない
http://politas.jp/articles/177
熊本博之 明星大学人文学部准教授:【沖縄県知事選】辺野古からみる沖縄県知事選挙
http://politas.jp/articles/178
猿田佐世 新外交イニシアティブ(ND)事務局長・弁護士(日本・米ニューヨーク州):【沖縄県知事選】沖縄知事選を経て、米国へ声を運ぶ
http://politas.jp/articles/179
篠原章 評論家:【沖縄県知事選】知事選から見えてくる「沖縄問題」の本質
http://politas.jp/articles/180
原田謙介 NPO法人YouthCreate代表:【沖縄県知事選】政治・選挙に対して壁をつくらない沖縄独特の雰囲気
http://politas.jp/articles/181
新崎盛暉 沖縄大学名誉教授:【沖縄県知事選】沖縄県知事選から見えるもの
http://politas.jp/articles/182
藤井誠二 ノンフィクションライター:【沖縄県知事選】「分断」され「沈黙」せざるを得なかった人々が語ることのできる「選挙後」に
http://politas.jp/articles/183
浅井久仁臣 キャタリスト:【沖縄県知事選】小指(沖縄)の痛みを全身(日本)の痛みと感じよう
http://politas.jp/articles/184
武田徹 ジャーナリスト・評論家/恵泉女学園大学教授:【沖縄県知事選】ネオリベラリズムに対向する沖縄的「保守」
http://politas.jp/articles/185
舩橋淳 映画作家沖縄県知事選】2014沖縄県知事選挙――さまざまな温度差から見つめる民主主義
http://politas.jp/articles/186
ポリタス編集部:【沖縄県知事選】映像で見る普天間基地移設問題
http://politas.jp/articles/187
ポリタス編集部:【沖縄県知事選】映像で見る普天間基地移設問題――基地返還後の跡地利用
http://politas.jp/articles/188
ポリタス編集部:【沖縄県知事選】新知事に翁長雄志氏当確
http://politas.jp/articles/189
ポリタス編集部:【沖縄県知事選】地域別得票数データから見る第12回沖縄県知事選挙
http://politas.jp/articles/190
新城和博 沖縄県産本編集者:【沖縄県知事選】翁長新知事が掲げる「アイデンティティ」が試される
http://politas.jp/articles/191
熊本博之 明星大学人文学部准教授:【沖縄県知事選】辺野古にとっての沖縄県知事選挙
http://politas.jp/articles/192
新崎盛暉 沖縄大学名誉教授:【沖縄県知事選】沖縄県知事選の結果は出た さてこれからどうなる
http://politas.jp/articles/193
松島泰勝 龍谷大学経済学部教授/琉球民族独立総合研究学会共同代表:【沖縄県知事選】琉球はアジアの「スコットランド」になる
http://politas.jp/articles/194
篠原章 評論家:【沖縄県知事選】沖縄は何も変わらない
http://politas.jp/articles/195
竹田圭吾 ジャーナリスト・編集者:【沖縄県知事選】基地で負けて選挙に勝った翁長リアリズム
http://politas.jp/articles/196
星野英一 琉球大学教授:【沖縄県知事選】選挙の後:選挙の前
http://politas.jp/articles/197
知念正作 「自家焙煎珈琲まちぐゎーみちくさ」店主/基地問題冊子「Picnic」発行人:【沖縄県知事選挙】「オール沖縄」はこれからだ
http://politas.jp/articles/198
知花竜海 ミュージシャン/Peace Music共同代表:【沖縄県知事選挙】翁長氏勝利の背景とネット選挙の考察
http://politas.jp/articles/199
布施祐仁 ジャーナリスト :【沖縄県知事選】勝負はついた。日米政府は「プランB」の検討を。
http://politas.jp/articles/200
佐藤学 沖縄国際大学教授:【沖縄県知事選】県知事選で示された沖縄県民の強固な意志
http://politas.jp/articles/201
藤井誠二 ノンフィクションライター:【沖縄県知事選】いま求められる「沖縄の尊厳」とはなにか
http://politas.jp/articles/202
仲村清司 作家、沖縄大学客員教授:【沖縄県知事選】政界再編を予兆させる新たな潮流の誕生
http://politas.jp/articles/203

ポリタスはコンセプトもデザインもよいのですが、Web2.0的なGUIが高速で全記事をチェックするのを妨げています。「もっと見る」はその最たるものですね。戻ってみると「もっと見る」以下の記事は再び引っ込んでしまうのでどこまでチェックしたのかわからなくなり、途中で投げ出したくなります。上のようなWeb1.0的な一覧仕様の方がずっと速く記事の間を行ったり来たりできるので、結果としてPVも伸びるのではないでしょうか。知事選終了後、ポリタスをアーカイブとして利用することまで考えて、この記事を書いてみました。